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基礎知識 2024.10.08

近接施工について概要や現状の課題を解説

     

近接施工とは? 概要と安全管理システムを紹介!

近接施工イメージ画像

建築・土木工事において、工事エリアに構造物などが隣接する場合には様々なリスクが伴うため、事前協議の実施や工事内容に関する技術的な対策が必要です。
この記事では、近接施工についての概要や課題・リスクについての解説と、土木工事で活躍する当社のシステムを紹介します。ぜひ参考にしていただき、業務にお役立てください。

近接施工とは

近接施工とは、建築・土木工事において既設構造物の近くで行う工事、またその施工によって既設構造物の安全性や機能に影響を与える可能性がある工事を指します
工事の際は、重機の接触や転倒、工事の影響による地盤の変位や構造物の損傷などのリスクを伴います。工事着手前に十分な技術検討を行い、工事中に事故が起こらないように留意することが重要です。
また、線路に近接して行う工事については、各鉄道会社のマニュアルやガイドラインに従い、申請書類の準備や事前協議の実施、影響対策を行う必要があります。

近接施工による考えられるリスク

近接施工は、隣接する構造物によって様々なリスクが考えられます。以下では、近接施工における具体的なリスクと事例をまとめました。

① 高圧線との接触

高圧線との接触イラスト例

高圧線や送電線の付近で移動式クレーンやコンクリート圧送車を設置して作業を行う場合、ブームなどが接触する危険性があります。また、足場設置の際にも接触しないよう注意が必要です。万が一接触した場合、感電や付近一帯の停電などのリスクを伴います。
電力会社と事前に協議を行った上で、離隔距離の確保や防護管の設置、監視責任者の配置などの検討が必要です。

② 地盤変形による近接建物への影響

地盤変形による近接建物への影響イラスト例

掘削工事により周辺地盤が変位し、隣接する構造物が傾いたり損傷したりする危険性があります。また、線路に隣接する場合、線路の変形により列車が脱線し、鉄道利用者に被害が及ぶ恐れもあります。
一般的には掘削工事を行う際、地盤を調査した上で適切な強度の土留め壁を設置し、定期的に変位計測を行う必要があります。

③ 重機・足場の転倒

重機・足場の転倒イラスト例

構造物などに隣接する場所で重機による作業を行う場合、転倒による構造物への影響が懸念されます。重機だけでなく、足場についても同様の危険性があるため、工事の際は注意が必要となります。
転倒防止の処置だけでなく、転倒時の影響範囲を事前に検討しておくことも重要です。

④ 資材の飛来・落下

資材の飛来・落下イラスト例

建築・土木工事の現場において、作業中に資材などが飛来・落下することで、通行人だけでなく近隣の構造物などを損傷させるリスクがあります。特に、建造物が高層になるにつれて工事エリア外への飛来・落下のリスクが高くなる傾向にあります。対策としては、防護棚(朝顔)や足場にメッシュシートを設置したり、資材の風散養生を徹底する必要があります。

⑤ 地下構造物の損傷

地下構造物の損傷イラスト例

近接施工のリスクは地上だけでなく地下も考慮する必要があり、掘削や杭打ちの際に近隣の地下鉄道や埋設物を損傷させるリスクを伴います。また、地盤の変位により地下構造物に影響が出る可能性も考えられます。
そのため、地下構造物や埋設物の状況を調査した上で、安全を考慮した対策を行う必要があります。


近接施工を行う上での安全管理と当社システムのご紹介

近接施工を行う上で、様々な安全対策が必要です。当社ではNETIS登録製品を活用したシステムを提供しています。当社システムを活用することで、施工コストの削減や工期短縮等も期待できます。
以下では、具体的な安全管理方法とシステムについて紹介します。

3Dバリアによる高圧線との離隔管理

3Dバリアによる高圧線との離隔管理イメージ画像

工事現場の敷地境界際において、クレーンやコンクリート圧送車による作業を行う場合、高圧線や送電線と近接する可能性があります。そのような状況において、施工領域3Dモニタリングシステム 3Dバリア(NETIS登録番号:KT-230340-A)を使用することで、接触を防止することができます。
3Dバリアは、クレーンやコンクリート圧送車のブーム先端または全体の位置情報をリアルタイムに表示し、管理エリアとの離隔管理を行うシステムです。高圧線や送電線のエリアを登録し、侵入した場合は表示灯や警報メールでお知らせします。高圧線や送電線との近接工事だけでなく、既設橋梁下におけるブームの高さ管理、クレーン同士の接触管理も可能です。

DAMSYSによる近接構造物の変位計測

DAMSYSによる近接構造物の変位計測イメージ画像

掘削工事を行う際、周辺地盤の変位による隣接構造物などへの影響が懸念されます。3次元変位計測システム DAMSYS(NETIS登録番号:KT-230145-A)は、隣接構造物や土留め壁の変位計測が可能で、掘削による影響をリアルタイムで監視することができます。
DAMSYSは、高精度のトータルステーションを用いて地盤や既設構造物の挙動を3次元計測するシステムです。24時間自動で監視することができ、管理値を超えた場合は警報(表示灯やメール)でお知らせします。

レーザーシールドによる近接構造物との離隔管理

レーザーシールドによる近接構造物との離隔管理イメージ画像

敷地境界際での作業において、クレーンや圧送車を使用する場合に操作を誤って越境し、隣接する建物への衝突などの事故が発生する可能性があります。そのような状況において、危険領域侵入警報システム レーザーシールド(NETIS登録番号:KT-190131-A)を使用することで、越境を検知することができます。
レーザーシールドは、屋外用レーザースキャナーで面状の検知エリアを設置し、エリア内に侵入した場合に表示灯とブザーで警報を発することができます。越境が懸念される仮囲いの際に設置したり、外部足場に設置したりと状況に応じて検知エリアを設定し、安全を確保することができます。

トラックステーション3による軌道変位計測

トラックステーション3による軌道変位計測イメージ画像

鉄道に隣接する工事において、掘削工事などの影響で周辺地盤が変位し、線路が変形するリスクが考えられます。線路の変形による脱線など、二次被害を防ぐためにも常に変位を計測しておくことが重要です。そのような状況において、軌道変位自動監視システム トラックステーション3(NETIS登録番号:KT-230145-A)を設置することで、24時間変位を測定することが可能となります。
トラックステーション3は、近接工事の影響を受ける恐れのある軌道や周辺の構造物の変位を3次元計測するシステムです。計測したデータはWebブラウザで、遠隔地からも確認することができます。管理値を超えたら警報が発報するため、万が一の場合でも素早く対応が可能です。


まとめ

近接施工を行う場合は、事前協議やリスクを考慮した安全対策を行うことが大切です。安全管理のシステムを活用することにより、未然に事故を防ぐことができたり、万が一の時は異常を検知したりすることが可能です。
今回紹介したシステムは、すべてNETIS登録製品となります。NETIS登録製品を使用することで、コスト削減や工期短縮だけでなく、公共工事の入札における加点対象となる可能性があります。ぜひ参考にしていただき、近接施工の技術計画にお役立てください。

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